正ちゃんがこんなに美味だとは知らなかったのです!
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白銀の太陽、黄金の月(5)
2007-10-29 Mon 18:54
「オッスオラQちゃん!」
九曜がいつの間にか修理されている扉を開け大衆酒場に入る。
いつもの面々の中に世羽を見つける。
「またぼーっとしてるー、」
「あ、Qちゃん、どしたの?」
「またソル達の事考えてたの?」
九曜がテーブルについている世羽をのぞき込む。
「私は、あれで良かったのかな?」
「ん、どーだろ、飼育できない環境でもないし。
 それでも世羽君がそうしたのなら、間違いではないと思うよ。
 ハンターもそうだし、
 生きてるものは全て何かの命を奪わなければならない。
 だからこそ、生きているものは奪った分だけ生きなきゃねー」
そう言って九曜は珍しく真面目な顔をして見せた。
「そう言えば…Qちゃんあの時何話してたの?」

黒曜石のモニターがニュースに変わる。
-「最近希少種のリオレウスとリオレイアが猛威をふるっているようです。
  目撃者、生存者の証言によりますと、
  サマーソルトをブレス吐きながらやってみたり、
  バックファイアまで両方の火竜がこなしている模様です。
  なお、高度な調合技術まで持っているようで、
  ほとんどの回復、補助系アイテムまで使いこなしているようです。
  しかしながら遭難者をBCまで運んでいたり、
  どうやら害意を持った者にのみ強烈な攻撃をしてくる模様です。
  では、次のニュースです-」

世羽は口を開けたまま水を含み、むせかえった。
「Qちゃん…まさか」
「あははー、そう、私の知ってる調合教えたのよん!
 二人とも元気そうで良かったじゃない!
 元々飛竜族は頭もいいし、
 あの子たち、私たちが話してることちゃんと理解してたよ?」
そう言って九曜は満面の笑みを浮かべた。

ふと世羽が九曜を見ると、九曜の下腹部がほんの少しだけ、
ほんの少しだけ膨らんでいる事に気付いた。
「そのお腹…どしたの?」
「ん ? で き ち ゃ っ た !」

おわり
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白銀の太陽、黄金の月(4)
2007-10-27 Sat 16:48
翌日早朝。
まだ空は深淵の碧さで埋まり、
星と月の明かりが辺りを薄く照らしていた。
「しかし、9ちゃんはこんな時間に元気だなぁ」
「私元々朝方だからねー。」
「んで、昨夜君たちは何を話してたのかなー?」
世羽は交互に火竜の兄妹と九曜を見る。
「えへへー、それはナイショ!」
九曜は何やら火竜の方を見る。
視線の合った一人と2頭は怪しい笑みを浮かべていた。

強行型ネコ車と快速気球を乗り継ぎ、
世羽たちが森丘に着いた時には空は薄いオレンジから抜けた青空が覗いていた。
「9ちゃん、通訳お願いね。」
九曜は無言で頷くと、火竜の前に立った。
もう大人よりも少し大きくなった兄妹はじっと世羽を見つめていた。
「ボクはルナとソルのママじゃないんだ。
 もう見た目でも解っていると思う。
 でも悲しむ事はない。
 この美しい世界で君たちは、
 これから力を合わせ、
 生きていって欲しいんだ。
 ボクは…ボクはそれでもキミたちを愛しているよ。
 でも、一緒には生きていけないんだ。
 ボクは…キミたちを狩るハンターなんだから…
 ハンターと竜は共には生きていけない。
 ボクのたった一つのお願いがあるんだ。
 辛いこともあるだろう。
 でも、たくさんの現実や外敵に負けないで欲しい。
 最も大切なことは『生き延びること』
 そして自分たちも沢山の子供を産んで欲しい。」
ルナは時折九曜の言葉を聞きながら、
消えそうな声でキューと鳴く。
「さぁ、もっと奥にねぐらに良さそうな洞窟がある。
 キミたちはキミたちの世界へ還るんだ!」
自分の未練を振り払うように世羽が声を荒げる。
火竜の兄妹は九曜に何か伝えると、
「マ…マ… バィ…バィ…」
と聞こえるような鳴き声を上げて空高く舞い上がっていった。
風圧の消えた後にはカンタロスの軋り声だけが響いていた。


続く
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白銀の太陽、黄金の月(3)
2007-10-25 Thu 14:18
数日後。
眩しく蒼い空の下、広場の食材屋の前で九曜は世羽に会った。
「あー…太陽が黄色いなー…」
朦朧とした表情で世羽は九曜に気付いた。
「ん、世羽君、寝てないの?」
「夜がさー…寝てはくれるんだけど
 寝ながら暴れるというか…
 サマソなら可愛いんだけど火吹かれると火災になるでしょー・・」
「あーなるほどー
 じゃあこれからお邪魔しちゃうからその間にねなさー」
「うん、トイレとかは大丈夫だし、
 脱皮はしたら自分でなんとかしてるらしいし、
 食事はケルビおいといたら勝手に食べてるしねー・・」

「んで、名前付けたの?」
九曜が金色の飛竜の喉元をくすぐりながら訪ねる。
「あー…付けてないねー」
「よし、無いと不便だから付けちゃおう!
 キミはキョロちゃんだ!…あだだだだだだ!」
名前が気にいらなかったらしく、激しく九曜の頭にかぶりついていた。
「んじゃルナとソルでいいんじゃないかなー」
「なんか防具を連想しそうな名前ねー・・」
だが二頭は嬉しそうにキューキューと鳴いている。気に入ったようだ。

「あーやっぱり9ちゃんも寝てるじゃないか・・」
その後すぐに世羽は仮眠を取り、
部屋に戻ってみると九曜は大の字になって眠っていたし、
ソルとルナは寄り添うように丸くなって眠っていた。
「あー・・ごめん・・」
開ききっていない目をしばしばさせながら、九曜は起きあがっていた。
「ま、何も起こらなかったし、いいか。
 なんか食べようかー」
「あ、私が作るよ、ネコ飯じゃ飽きるでしょ?」
「そりゃ有り難いけど…ゲテモノは勘弁ね?」
「あはは…一応聞いておくね」

銀シャリ草にファンゴの出汁を含ませ、
ザザミソとギザミのほぐした身のリゾットを二人は食べていた。
そのそばのテーブルでは、
こんがり焼かれたポポの肉を兄妹が美味そうについばんでいた。
「ねー、9ちゃん。」
「んー?」
リゾットをすすりながら九曜は世羽を見た。
「私ね、ソルとルナを野生に帰そうと思うんだ。」

続く
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白銀の太陽、黄金の月(2)
2007-10-24 Wed 16:38
「ところで、なんで9ちゃんは竜の言葉わかるの?」
pkが怪訝そうに訪ねた。
「えへへ…、
 なんとこっそりと『みんなのハンター通信竜族語講座』で勉強してたですよ!」
九曜が思わず得意げにのけぞる。
「…うさんくさい…」
誰もがそう呟かざるを得なかった。
「ん、みんな揃って何やってるんだい?」
酒場の扉があった所に帷子の上に白衣を羽織った男がいた。
「あ、ロド先生、こんばんは!」
彼はロドニー言い、ハンターを続ける傍ら医者のような事をやっていた。
そのため、親しい人間は彼を先生、と呼ぶ。

「ふむ…面白い話だな。」
黄金酒を呷りながらいきさつを聞いたロドニーは爽やかに微笑んだ。
「先生、人間が飛竜を産むなんて事あるの?」
「はは、まずないだろうね、異種間交配したいのなら止めはしないがね。」
「異種間交配…私フルフルとの子供が欲しいッ!」
九曜が恍惚とした表情で呟く。
「えー…妄想モードに入ってる人間は置いておいて、
 じゃあこの兄妹は嘘をついてまでわざわざここまで来たとでも?」
世羽が飛竜の兄妹にグルーミングされながらロドニーに訊いた。
「ん、心当たりないのかい?
 例えば…孵化したばかりの幼生に見られた、とかね。」
「あっ…すり込み…?」
「飛竜がすり込みされる、という話はまず無い事ではあるが…
 その理由は孵化する時のリオレイアの気性が非常に荒いせいもあるんだがね。
 希少種の発生については諸説あって定かではないが…
 そういう事じゃないのかな?
 ま、良くなついてるようだし、しばらく一緒に居ながら考えてみたらどうかね?」
そう言ってロドニーは席を立ち、酒場を後にした。
床下にめり込んだクロは酒のせいもあってまだ眠りこけていた。
なつく飛竜の兄妹を交互に見ながら、
世羽はこれからの事を考えて少し眩暈がした。

続く
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