正ちゃんがこんなに美味だとは知らなかったのです!
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1-1
2008-03-03 Mon 16:44
1.
――泣いている声が聞こえる。
   一体、誰の声なのか…
    胸の痛みは傷のせいなのか、
    それとももっと奥から来るものなのか…
      憎しみ?
         その理由は…?

――紅い、紅い、火が見える…。
    何が燃えているのか…
      痛い…、痛い…。
        心が…精神が…壊れていくのがわかる。

――約束…、とても大切な約束…。
    行かなければ…
    一体どこへ?
     大切な大切な約束…。
       でも思い出せない…。

――自分は…自分は、

   一体誰なんだ…?


 男は飛び起きてすぐに時計に目をやった。2時18分。虫の声が少し静かになっているような気もするが、虫の声よりも頭を激しく打つ頭痛に軽い眩暈を覚える。
 寂しい民宿の一室――。
奥の床の間の隅に背の大変低い黒髪の和服を着た少女がこちらを心配そうな表情で男の方を見ている。「座敷童」と呼ばれる妖怪だった。
 男は産まれた時から見えるはずのないモノが見える体質――、それは「第三の目」と呼ばれたり、霊感が強いと言われたりする。古くは「神隠しに逢い易き体質」とも言われていた。男はそうした異能の能力の為、しばしば疎まれ、疎外された。何時からか、こうした事を他人に言う事は無くなった。解っていることはこうした物の怪、化生といった類のものたちはそのほとんどは害意を持っている事が少ないということ、そして稀に害意を持ち凶悪なものはヒトを襲う、と言う事だった。襲われた人間の多くは原因の解らない行方不明、古い言い方をすれば「神隠し」にあった、とされる――。男は幸運にもそうした化生に遭遇する事はなかったが…。
「大丈夫だよ」と言うと、座敷童は少し微笑んで消えた。
 眠れないからと痛飲したアルコールが殊更頭を酷く痛めつける。だが眠れた所でいつも捉えようもない悪夢に苛まれる。男は薄い月明かりだけの部屋を数歩歩いてから外気を吸い込み、そして黒い小型のアタッシュケースからピルケースを取り出すと白い錠剤を口に無造作に放り込み、数回かみ砕いてからまた床についた。
 今度こそは嫌な夢に苛まれないように祈りながら…。
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