正ちゃんがこんなに美味だとは知らなかったのです!
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1-3
2008-03-05 Wed 07:06
 周囲は薄暗く空は紺から藍になり、山間のオレンジと混ざり合って果てしないグラデーションを醸し出していた。逢魔ヶ刻というのはこういう事を指すのだろうか、と翔が思いながら宿への道を歩いている時、何かが聞こえた気がした。
 翔は歩みを止めて辺りを見回すが、人影すら見あたらなかった。気のせいかとも思い、再び歩みを進めようとすると、今度ははっきりと誰かが呼んでいる声がした。

「――…翔…、」
翔は辺りを見回してみたがどこにも人影など見えなかった。
「…草薙 翔、こっちに来て…」
姿は見えないが声は聞こえる。不安とある種の恐怖を覚えながらも翔は声のする方に向かって歩んでいた。

 数分歩いて行くと、小高い丘一面にススキがびっしり群生しており、いつの間にかその背後には満月が大きく顔を覗かせていた。満月の中には人影が一人――。ざぁっと一筋の風が吹くとその人影の服と髪が少したなびく。その背後では無数のススキが踊っているようにも見えた。翔はその中を少しずつ影に向かって歩んでいく。月明かりがその影を照らした時、影の正体が少女である事に気付いた。おそらくは歳の頃一四~一六くらいであろうか。身長はやや小振りで、その低さにも劣らず細身だった。長い銀髪が月明かりの下でやけに白っぽく見える。肌の色は真っ白でまるで血が通っていないかのように思わせられた。つま先まですっぽりと隠れる長さのワンピースを身に包み、頭には少し小さな麦藁帽子が乗っていた。左手首には鈍く光沢のある腕輪が一つ――。無骨なデザインの腕輪の中に数カ所の青、桃、緑の猫目石が飾られていた。その腕輪を目にした時、翔はほんの一瞬だけの頭痛と、既視感に囚われていた。

「はじめまして、翔君。私は姫護 咲――。
  あなたを長い、長い間探していました――。」
先程聞いた声が改めてはっきり聞くと落ち着いた、と言うよりもむしろ冷淡な口調の低いトーンの声だった。
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