正ちゃんがこんなに美味だとは知らなかったのです!
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2-5
2008-03-20 Thu 20:06
 翌日、憬惺が木製の義手を男に取り付ける事にした。ようやく右手の傷からの出血が収まりつつあったからだった。
「どうかね? 動かせるかね? 」
「先生…、それはいくらなんでも無茶じゃ…。」
朱梛が半ば呆れた表情で憬惺の所作を見守っていた。
「霊木と符で拵えてあるから使えるようになれば普通の手と変わらず動かす事が出来る。尤も、出来ればの話だがの。」
作業を終えた憬惺は徳利から酒を湯飲みに注ぎながら言う。
「もう歩けるんじゃろう? ならちょっとは外の空気と日光にでも当たって来たらどうかね。流石に四六時中辛気くさい顔されると困るな。――朱梛、着いていってやりなさい。」「はい、先生行ってきますね。」
そう言うと朱梛は押し黙った男を連れて小屋の外に出て行った。

「この場所では時間の流れが現世とは違うのですよ。実にゆるやかに時が流れるので迷い込まれた人は数年でも現世では数十年ですから…、大変な事になる人もおられるようで…。」
朱梛は必死に男に様々な事を語って気を紛らわせようとするが、表情は暗いままだった。「自分は若いままで他の人が歳を重ねてしまうと…、悲しいですよね。」
朱梛がそういう話題になった時、男の歩みが止まった。
「例えば――、例えば自分の想った相手が自分を置いて逝ってしまうとして――、君ならどうする?」
朱梛も歩みを止め、数歩男に近づくと少し男を見つめて考えた後で、
「私なら、その方がもう一度この世に生を受けるまで待ちます。もし、自分の肉体と言う入れ物が滅んでも太極に戻りまた生を受けるものですから。そして私も逝くとしても何時か必ずその方と一緒になります。」
まっすぐな瞳で男を見つめながら言う。
「でも――、精霊の身では現世で人と繋がりを持つ事は叶いませんし、人になる事も出来ませんがね…。」
そう言うと朱梛の表情はにわかに曇った。
「そう言えば…、貴方のお名前を聞いた事無かったですね。教えて頂けないですか?」
少し男を上目遣いで見ながら朱梛は言う。
「――、磬鸞と呼んでくれ…。」
「磬鸞…、変わったお名前ですね。」
「字だよ。君が桃花源で俺を見付けた時、確かに俺は死んだ。嫣舜を愛し、ただそれだけを夢見てた男は死んだんだ――。磬鸞というのは天子であっても俺の復讐の気持ちは変わらない。そういう意味なんだ。」
朱梛は磬鸞の言う意味が解らなくも無かったが、磬鸞の発する激しい感情の流れに言葉が出なかった。
「磬鸞…さん。恨みや憎しみの気持ちは解ります。ただ…、憎しみからは何も生まれはしませんし、亡くなった方たちはそんな事は望んでいないと思います。」
細い目尻から涙を浮かべながら朱梛はそう言った。
「解ってるさ…、でも焼き付いているんだよ――。とても言葉にできないようなあの光景がね。目を閉じればその光景が離れられないんだ。」
そう言うと磬鸞は悲しい笑顔を朱梛に見せた。朱梛はまるで胸を締め付けられているような感覚に襲われた。
「そう言えば…、君は他の精霊とは少し違うような気がするね。他の精霊達は奔放に歌い踊るように見えていたんだが…、好きなのかい…?」
「あっ、はい! 仙術とは真理に近づく為の学問ですから…、楽しいですよ!」
朱梛は我に返ってそう答えた。
「はは…、真理か…、そんな事考えた事はなかったな。ただ…、寒さに凍えず、飢えず、幸せに暮らす事を願う事しか思い付かなかったよ。」
「そうですか…、でも真理に通じるものとは、あらゆる学問に繋がるものなのですよ。」
「なるほど…、憬惺師とは、どういう方なんだい?」
「先生は元は天界の軍師だったと聞いています。知識は医術から宿曜まで幅広く、今でも並ぶもの無し、ともされているそうで…。」
朱梛はまるで自分の事かのように誇らしげに熱く語った。
「やはり、憬惺師に教えを請うより道はなさそうだな…。」
そう磬鸞は独り呟いた。
そうして二人はまた歩きだしたが朱梛は必死に憬惺の逸話をなにやら語り続けている。桃の並木が咲き乱れ、白い花吹雪がざあっと辺りを舞っていた。朱梛が並木の根に足を引っかけ、そのまま磬鸞の背にもたれかかるようにして倒れ込んでしまった。
「あう…、すいません。」
「いいさ…。」
改めて人の温もりに触れる事で朱梛の中にはそれまで感じた事の無い感情が芽生えていたが、朱梛はその事に気付いてはいなかった。小鳥の声が騒がしくなく、そして静かに辺りに聞こえていた。
そんな訳で舌の根乾かぬウチに更新。
最近は体調維持に専念しているのでネトゲの類は一切やっておりません。
やる気力もないしね・・w

最近ほんと無気力人間になってる。。
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